五ツ星お米マイスターが伝授!
今年の新米の楽しみ方

新米が流通する季節、ここ数年は新品種の誕生ラッシュが続いています。
お米の事、美味しい炊き方などを勉強し、食べ比べ、自分の好みのお米を探してみましょう。
(2016.11.10)

 


雨が降らずに渇水だと言っていたら、今度は連続して台風が上陸するなど、近年、様々な天候不順が繰り返されていますが、それにも負けずに、毎年7月中旬から11月中旬まで、各産地から新米が続々と出てきます。

新米の季節、新品種ラッシュ

皆さんは新米流通の始まりとともに、色々な産地や品種を食べ比べしているでしょうか。もしも、いつも同じだとしたら、ちょっと損をしているかもしれません。実はこの数年、毎年どこかの産地から新品種が誕生していて、ちょっとした新品種ラッシュとなっているのです。
秋のきらめき・あさゆき・一番星・笑みの絆・おいでまい・風さやか・きたくりん・きぬむすめ・くのさんの力・元気つくし・恋の予感・さがびより・青天の霹靂・つぶぞろい・つや姫・天のつぶ・にこまる・ふくまる・森のくまさん・ゆめぴりかなど、聞いただけではお米の品種名とは思えないユニークな名前ばかりですが、さらに今年は岩手県から「銀河のしずく」。29年には新潟県から「新之助」。30年には福井県。それ以降は秋田県からも新品種が誕生する予定となっています。
新品種が誕生する理由は様々で、栽培しやすい、収量が多い、病害虫に強い、温暖化に負けないという産地にとってのメリットから、大粒で見栄えが良い、炊きやすい、色々なお料理に合う、冷めても美味しいなど、消費者にとってのメリットも考えられています。
しかし現実として、これだけ色々な品種があっても、味や特徴に違いはあるのかという、基本的な疑問が湧いてきます。

お米の特徴の変化

お米の特徴は大きく、見た目・香り・柔らかさ・粘り・甘さの5つがあり、それらを線でつないで5角形のグラフで表示されることが一般的でした。
しかしこの頃は、「もちもち」とか「さっぱりしてしっとり」など、今までの表現には無かった新しい言葉も多く使われ始めています。なぜかというと、次々誕生してくる新品種は、シンプルな5角形で表せる特徴ではなく、複数の特徴が重なって成り立っているからです。
具体的に言うと、このごろ多く耳にする「もちもち」という表現ですが、これは、粘り+柔らかさだけではなく、粘り+柔らかさ+米粒感+甘さの4つのバランスが採れているときに使う表現です。同様に「さっぱり」は、喉越し+米粒感+甘さの3つのバランスから。さらに、今でいう「粘り」は、粘り+柔らかさ+甘さ。「柔らかさ」は、柔らかさ+ふっくら+しっとり+甘さとなっているのです。
と言ってしまうと、「お米とはそんなに難しいのか」と思われそうですが、実は言葉や文字にすると難解奇怪であっても、実際に食べ比べるということを意識して、違いを探そうと思いながら食べてみると、「なんだ」というほどに判りやすいのがお米なのです。とはいっても炊飯器を何台も持っているご家庭は無いでしょう。ですが、ほとんどの人は3回くらい前の味や特徴を覚えているものなので、1台であっても食べ比べは可能です。
しかし、保存・研ぎ方・炊き方・むらし方・ほぐし方がバラバラだと、その違いを感じることが出来ません。なので、まずはお米を美味しく炊くための勉強をしてみてください。

現代のお米の美味しい炊き方

多くの人が、思い込みでお米を研いでいます。
昔と今は精米機も品種も違っていますので、今の時代に合った研ぎ方というものがあります。
今年の新米の傾向ですが、収穫時期が早く、渇水傾向だった産地の新米は、炊いたときに、米粒の表面がやや硬めの傾向があります。
以前は、「新米を炊くときには、水加減を減らす」と言われていましたが、それは自然乾燥米などが多く流通していたころの話です。現在は、タイプは色々とありますが乾燥機を使用して、玄米水分を14~15%に調整してから流通させています。なぜならこの数値が、一番お米の品質が下がりにくいからです。そしてこれは、古米でも新米でも同じなのです。ですから、新米だからとって、炊くときの水加減を少なくする必要はありません。
しかし、収穫したばかりの新米ですので、炊飯器によっては、柔らかくなってしまうものや、柔らかく感じてしまう事がありますので、その場合は、水加減は炊飯器のメモリのままで、炊き分けモードを変更してみてください。
それでも柔らかいと感じたら、今度こそ水加減の調整となります。
注意してもらいたいのが、炊き上がった時のご飯のツヤです。ツヤが無いと感じた場合は、明らかに炊くときの水加減が足りていません。
ツヤが無いご飯というのは、産地の良さも品種特徴も美味しさも、まず出ません。それだと食べ比べをしても違いが判りませんので、新米だけでなく古米でも、炊き上がりのツヤには気を付けることが重要です。
新米を買う時も、1品種だけを選ぶのではなく、色々な品種を少量ずつ購入して毎回違う品種を炊いて、違いを探すことを意識しながら食べ比べをしてみてください。
すると、数種類を食べ比べただけで、多くの人が自分の好みの味や特徴を、具体的にイメージすることが出来るようになり、自分にとって美味しい新米を選べるようになります。

自分の好みを知って、新米の美味しさを楽しんでみてください。

五ツ星お米マイスター 西島 豊造さん
(スズノブ 代表取締役)

1988年に家業の米屋「株式会社スズノブ」を継ぐ。大学時代に得た「土」の知識、北海道で得た「農業土木」の知識、産地を回って得た現場の知識、歴史から紐説いた知識など、膨大な米に関する知識を活かし、お米のソムリエ、お米博士として、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌などに多数出演。お米の新しい時代を作りたいというビジョンのもとに、独自プロジェクト「Suzunobu Project Rice」を立ち上げ、産地の特徴を活かした地域ブランド米作りや地域活性化にも携わっている。



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