お茶の産地と、相性の良い水

お茶の産地と銘柄、味の基本を学び、さらに相性の良いお水を選ぶことで、
もっと日常的に美味しく、お茶を楽しんでください。
(2017.2.3)

 


緑茶の主な産地

日本のお茶の産地は、静岡県(40%)、鹿児島県(30%)の2県で全体の7割を占めており、そのあとに三重県、宮崎県、京都府、埼玉県と続きます。年間1500mm以上の雨量があり平均気温が比較的暖かくないと育たないので、国内でも関東より北の都道府県には主要産地が存在しません。

鹿児島は伸びに勢いがあり、年々静岡に追いつきつつあります。鹿児島は南端である上、お茶の生産に力を入れているのに対し、静岡は日本の主要都市に近く利便性のある土地柄、茶畑を壊して開発などが進んでしまっているという背景があります。

様々な品種や各地の番茶

品種でいうと、静岡は「やぶきた」という品種が圧倒的に多く作られています。そのやぶきたを中心にして、前に早生(わせ)の品種、やぶきたの後に晩生(おくて)の品種を植えるなどして、脇役を作ってきました。ところが、鹿児島は、やぶきたにはかなわないということで、個性多様な独自の品種を作っています。

 さらに、各地で作られるお茶として、番茶という安いお茶が全国にあります。ぶくぶく茶(四国) ぼてぼて茶(石川)等、地方の表現を使っており、産地と生活に根ざしたお茶と言えます。番茶といっても各地でいろんな捉え方があり、東京では、安い煎茶を指すのに対し、京都や金沢ではほうじ茶のことをいいます。また静岡の番茶は、緑色の軽い味の煎茶です。「柳」と呼ばれる通り、柳の葉のように平たいお茶で味が軽くて、お子さんや病人の方にも支障がない軽いお茶です。

 また、静岡内の産地だけで見ても、20産地に分かれています。深蒸し茶の牧之原、浅蒸し茶の川根と言った蒸し方による製法の違いや、清水の両河内で作られるまちこという桜の香りのするお茶、静岡県内各地で生産の広がっている、遮光をして育てて白っぽい葉に出来上がる白葉茶など、静岡茶といっても様々です。しかも静岡県はお茶の生産割合で言えば40%ですが、流通割合としては70%にものぼります。静岡という名前があった方が売れるので、一度静岡に送られてきてブレンドされてから全国に送られたりもしています。

山のお茶と、里のお茶

静岡茶は主に、山のお茶と、里のお茶の2種類に分かれます。山のお茶は標高の高い場所、里のお茶は低い場所で作られますが、里のお茶のほうが温暖の為、摘み時期が早く、4月20日ごろから新茶として出回ります。最初に出るものは量が少ないので 里のお茶というのは山のお茶より高めに値段が設定されます。また特徴からいうと、山のお茶が浅蒸し茶で、里のお茶は深蒸し茶です。「香りの山の茶、味の里の茶」と言われますが、お茶の渋み苦みは日照時間の長さによるカテキン成分の量に由来するもので、日照時間の少ない山のお茶は、苦み渋みがあまりなく香りがいいのに対して、日照時間が長い里の茶は、カテキン成分を多く含んで、苦いお茶となります。そこで、ほとんどすべてのお茶はそれぞれの良いところを取って、ブレンドされます。

静岡以外のその他の産地の品種としては、京都の宇治茶、佐賀県の嬉野茶、福岡の八女)、鹿児島の知覧茶などが特徴的ですが、その産地のお茶の名前を名乗る場合は、そこのお茶を100%使わないとなりません。そうで無い場合は「ブレンド茶」となります。ただし、宇治茶に関しては、京都だけでは土地が狭く生産量が少なすぎるので、京都 奈良 三重 滋賀の4つで採れたものなら宇治茶を名乗ってよいことになっています。
それから埼玉の狭山茶もあります。このお茶は、おそらく東京の水に合うようにという理由から、火入れが強く、ちょっと焦げた香りになっているのだと思います。 

水の適合性

ここで触れた水の適合性についてですが、本来は、その産地で採れたお茶というのは、その地域の水で入れるのが一番適しています。「日常茶飯事」という言葉にもあるように、お茶というのは気楽に飲めるものであるべきです。出来るだけお茶は身近な産地の新鮮なものを、浄水器で濾過した現地の水を使って淹れる、または硬度の低い軟水のミネラルウォーターを使って淹れる、これが日常的に美味しく飲んで頂くのには一番ではないでしょうか

日本茶インストラクター 渡辺 栄一さん (山大園 代表取締役)

1969年に大学を卒業し実家の山大園に入社、1996年に四代目社長に就任。2000年、日本茶の普及を目的に設立された日本茶インストラクターの資格を第1期生として取得。地元のテレビ、ラジオや新聞はもちろん、食や農業の業界紙、NHKなどにも出演。「お茶はおいしく淹れて楽しく飲む」をモットーに、過去多数の呈茶講演を、国内だけでなく海外でもおこなってきた。「憩いの茶の間」の復活を目指して多方面で活動している。



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