CLEANSUI KNOWS JAPANESE CRAFTS
"Shigaraki" BEAMS JAPAN Talk Show

司会:柴田隆寛さん プロジェクトのクリエイティブ・ディレクター
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【メンバー】
三菱レイヨン・クリンスイ 柴英樹
プロダクトデザイン NOTA&design 加藤駿介さん
プロダクトディレクション ランドスケーププロダクツ 中原慎一郎さん
(2017.2.7)

 


Cleansui Knows Japanese Craftsの第一弾「Shigaraki」の発売を記念して、BEAMS JAPAN 新宿店にてトークショーが開催されました。このプロジェクトのWEBやカタログなどのクリエイティブを統括された柴田隆寛さんをファシリテーターとして、三菱レイヨン・クリンスイの柴英樹を筆頭に、信楽焼のプロダクトデザインを手がけたNOTA&&design 加藤駿介さん、プロダクトディレクションを務められた ランドスケーププロダクツ 中原慎一郎さんをお迎えし、「Shigaraki」が完成するまでのエピソードをお聞きしました。

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.Cleansui Knows Japanese Craftsというプロジェクトはどのような経緯でスタートしたのでしょうか?

.柴英樹(以下、柴)
 クリンスイは、「水で世界にwaku-wakuを」というコンセプトのもと、世界中の人に水に関わるすべての物でワクワクしてもらいたいという考えから、様々な試みをしています。私たちは元々浄水器メーカーですが、浄水器だけではなくて、料理やシャワーなど色々なシーンに合わせた水を体験して楽しんで頂きたいと考えています。
 将来的には、浄水だけではなく、その水を使った野菜・果物等も体験して頂きたいと考えています。
 また、2020年のオリンピック開催に向けて、海外からのお客様に対して「和」は重要なテーマのひとつですが、中でも「水」に注目し、味にこだわる人に向けて、昨年お米・お茶・出汁、それぞれに合う水をつくるポット型浄水器を「WASHOKUシリーズ」を商品化しました。
 そのような中で、今度は日本の様々な技術・それを扱うクラフトマンと共同で、ワンランク上の生活に似合う、または自分の生活スタイルをワンランク上げてくれる様なプロダクトを開発したいという想いからこのプロジェクトはスタートしました。

.第一弾として、なぜ信楽の加藤駿介さんにお願いすることになったのでしょうか?

.中原慎一郎(以下、中原)
 行政から頼まれた仕事の関係で滋賀県をリサーチしているとき、信楽の加藤君の工房に行きました。ちょうど彼が実家から独立する様な形で、自分の工房を作り始めている頃でした。僕は全国いろいろな窯元に行きますが、その中でも信楽は登り窯で薪を大量に使ったり、ものすごく大きい鉢を簡単に作ってしまうなど、他の産地と比べても、大きい物を作るのが得意な場所だと思っていました。
 自分も以前から良い浄水器がないか探しており、加藤君がサンプルを作り始めていた頃だったので、この器に浄水機能が加わったら面白いのではないかと思い提案しました。

.もともと信楽は日本の六古窯だと思うのですが、背景を説明してください。

.加藤駿介(以下、加藤)
 信楽はもともと琵琶湖の底にあったそうです(琵琶湖の歴史は古く、形や場所を変えながら現在の規模になった)。現在の信楽は琵琶湖の南側に位置し、隣が伊賀、土はどちらも古琵琶湖層からできた土を使っています。その粘土は非常にコシがあり焼き物に適していたため、甕とか壺などが作られていました。それを見た千利休が茶器として使用したり、さらに火鉢とか植木鉢とか大きい物まで、みなさんの暮らしを良くするものを作ってきた歴史があります。

.今回のデザインは、どのような背景から生まれたのでしょうか?

.(加藤)
 焼き物のサーバーは以前からありましたが、どちらかというと純和風なテイストが多くて、ゴテっとした居酒屋にあるようなものが多かったと思います。自分でも欲しくなるような自分らしさに合わせた、今の生活にも合う造形を考えた時に、今回のデザインが出来ました。

.クラフトは元来、手で作る一点物が多いと思いますが、それをプロダクトベースにのせる際の苦労話やエピソードを教えてください。

.(中原)
 それが今回の一番大変なところでした。クリンスイは大量生産をする中で、ものすごい精度や今まで経験したことがない検査など、求められる基準が凄く高いのです。逆にクラフトには、大量には出来ないけれど少量で作る面白さや、良さがあります。クラフトのもつ良い部分や弱い部分と大量生産のプロダクトとの関わりがどうなっていくのかが、僕としては一番興味のあるところでした。
 陶器には、丸を作ろうとしても微妙にひずんだり、そういった曖昧な部分が良くも悪くも出てくるのですが、僕らは最後まで陶器でやろうと決めているから攻めるだけ攻めました。

.(柴)
 私たちは0.1ミクロンという精度のために温度などを厳密に制御しています。条件を出すのは大変ですが、一回条件が決まれば大量生産ができます。信楽は一個一個手で作る。その信楽のプロの精度と我々の精度が融合すれば…、という思いで開発しました。

.何ミクロンの世界でやっている企業が、よくそこを面白いと思ってくれたと感心しました。

.(柴)
 そこのマッチングにワクワクして頂けるんじゃないでしょうか。クラフトと浄水技術が上手く重なってできた傑作品だと思っています。

.どの様な生活シーンで使って欲しいという様なイメージはありますか?

.(柴)
 人が集まって色々な料理があって、もちろんその料理の水にもこだわって欲しいですが、そのおいしい料理の真ん中にポットがあってそれで水を飲んで頂くなり、お酒を飲むなり、皆さんでワイワイと楽しんで欲しいと思います。

.(中原)
 個人の家だけでなく、ホテルなどにも取り入れられれば嬉しいなと思っています。自分自身も最近水に対して興味が沸いていたので、そのタイミングでこういう仕事が出来て凄く楽しかったですね。一つ置いてあるだけで生活の雰囲気が変わるプロダクトだと思うし、自分でも使いたくて考えた商品なので、実際に使うのを楽しみにしています。

.(加藤)
 田舎ではみんなでご飯を食べる機会が多いので、そういうときに使いたいなと思います。都会に住んでいる方も、やわらかさや、それぞれの個体差を楽しんでください。ただ陶器なので扱いは丁寧にしなければいけませんが、あえてそこまで楽しんでもらえれば嬉しいですね。

 蛇口をひねる動作も含めて、水を飲むことに意識的になれるデザインとして、単機能ではあるけれど、凄く考えられていると思っています。



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