日本茶インストラクターが語る、
最近の日本茶事情

新しいお茶の楽しみ方や流行、又その味わいや効果などについて、
知識を広げて自分なりの楽しみ方を見つけてください。

(2017.09.20)

 


日本茶カフェ、和カフェ

ここ最近、東京では日本茶カフェや和カフェといわれる、日本茶を中心としたカフェがいくつも生まれています。落ち着いた和の雰囲気の店内で、お茶や和テイストのスイーツをいただきながらくつろげるのが特長で、外出しているときでも気軽に日本茶を楽しめるところが増えたことを、非常にうれしく思います。

フレーバーティー

この様な流行の一因、若い人たちにもお茶を楽しんで頂くきっかけとしてフレーバーティーが挙げられます。紅茶でいうところのアップルティーなどと同じ様に日本茶にフレーバーをつけたもので、フルーツやブーケの香り、のみならずスイーツなど様々なフレーバーを楽しむことができます。
この様な新しい製品により日本茶は、女性を中心として若い人たちにも楽しまれる様になってきました。また、日本人には「ほのかな香り」として楽しめるお茶の微香も、外国の方々には香りが少ない…、物足りないと感じる様で、そういった方々の日本茶への入り口としてもフレーバーティーは活躍しています。

この夏、静岡県のお茶におこった一大事

ところで、静岡県ではこの夏、この様な製茶に関する一大事が発生していました。
もともと静岡県には、1956年以来、製茶において茶以外の香料や着色など添加物混入を禁じた、県の製茶条例というものがありました。ただし県知事に申請すれば作る事ができるので、主に玄米茶の玄米、金粉茶の金粉などは認められておりましたが、着色やうまみ成分の添加がされたことはありません。これらは食品衛生法で認められているため、他県では製造されてきました。
そこで、この製茶条例を廃止しようという方針が県よりありました。それが発表前に新聞で記事として取り上げられたため、論争が巻き起こったのです。
近年、色や香りを楽しむフレーバーティーなど新しい傾向がみられるなか、商品開発の妨げになるのではないかという懸念が出発点でした。しかし、条例廃止により、一時のニーズに応じて添加物入りのお茶を販売する業者が増えるのではないかということや、県内の生産者は天然の茶葉を用いた日本茶を自信をもって製造してきた、という意見もあり、廃止は見送られることとなりました。
たしかに、新しい商品の潮流に乗り遅れるというデメリットも考えられますが、廃止が見送られた以上、せっかくですから静岡県には「無添加・無着色」を推奨する条例があり、天然の美味しいお茶を作ってきた歴史があることをこの機会に知っていただき、みなさんに静岡茶を選んでいただくきっかけになればと思います。

天然のお茶をより美味しく楽しむ

この頃は、日本茶の水出しというのも定着してきました。まだ暑い日も続く中、水出しで飲むことのメリットを考えてみましょう。
お茶の香りを楽しむなら、高い温度で入れたほうが香りは立ちます。しかし先に書いた様に、日本人は「ほのかな香り」を楽しむ感覚を備えています。また成分の関係上、水出しの方がまろやかなお茶を楽しむ事ができます。

お茶といえばカテキンですが、水出しの場合この渋み成分であるエピガロカテキンガレートが抑えられます。これによりまろやかなお茶を入れる事ができます。
この代わりに多く抽出されるのがエピガロカテキンといって、免疫力を高める効果で非常に注目される成分です。エピガロカテキンは、エピガロカテキンガレートがあるとその効果を十分に発揮できないという特性があるため、エピガロカテキンガレートが抑えられエピガロカテキンが多く抽出される水出しは、非常に効果的と言えるでしょう。

また、水出しにするとカフェインがおさえられるので、小さいお子さんなどカフェインが気になる方にもおすすめです。

暖かいお茶は胃腸にも良いですし香りも楽しめますが、暑い日にはこうした水出しのお茶を楽しむのも良いと思います。

お茶に最適な水

贅沢を言えば、そのお茶の産地の水で入れるというのがオススメです。しかし茶葉と一緒に現地のお水を手に入れるのは非常にむずかしいでしょう。これはご旅行などで行かれた際に、ぜひ楽しんでみてください。
自宅でお茶を入れる場合には、自宅の水道水で構いませんから、浄水器をつかって入れていただくと、茶葉のもつ本来の味や香り、また成分のもつ効果などを、より多く楽しんでいただけると思います。

日本茶インストラクター 渡辺 栄一さん (山大園 代表取締役)

1969年に大学を卒業し実家の山大園に入社、1996年に四代目社長に就任。2000年、日本茶の普及を目的に設立された日本茶インストラクターの資格を第1期生として取得。地元のテレビ、ラジオや新聞はもちろん、食や農業の業界紙、NHKなどにも出演。「お茶はおいしく淹れて楽しく飲む」をモットーに、過去多数の呈茶講演を、国内だけでなく海外でもおこなってきた。「憩いの茶の間」の復活を目指して多方面で活動している。



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