



時は遡り1970年代……日本全体がオイルショックで苦境に立たされている中、三菱レイヨンは水や血液をろ過するための繊維を研究していました。
そんな時、発生したポリプロピレン繊維の欠陥品。調べてみると、糸の壁面に無数の孔があいていました。
当時の研究員・南俊輔は、欠陥品とされたポリプロピレン中空糸を『ろ過膜』として活用できないかと考え、研究を進めました。
そして開発された中空糸膜は、その後のさまざまな商品の礎となったのです。
欠陥製品である繊維からヒントを得て、中空糸膜の開発に成功した南氏は、さまざまな業界に売り込みを開始。
その結果、排水処理分野をはじめ、最高レベルの機能性と安全性が要求される医療業界にも注目されることになりました。
そして、人工肺に中空糸膜が採用されたのでした。


欠陥品であるポリプロピレン繊維…その失敗作を手に、当時の研究員・南俊輔は自問自答していました。
「この繊維をなにかに活用できないだろうか……」。
そこで着目したのは、顕微鏡で見たときに気がついた無数の孔(あな)でした。
この繊維をろ過膜に活用できるのでは、そう考えた南研究員はさまざまな業界へ売り込みへ行きました。その努力が実を結んだのが1978年、医療方面で認められ、ついに完成した中空糸膜を使用した人工肺を学会で発表したのです。





さまざまな商品の原点となる中空糸膜を開発。この後、どのような商品に応用されていくのでしょうか。
