
朝食編でも紹介した「HEY!バインミー」や「#おうちでsio」などの活動が注目され、いまやテレビ番組にも引っ張りだこの鳥羽さん。「これまでで一番忙しい」と苦笑しつつも、「だからこそ、これまで以上に料理に集中している」とも言います。
「色々なメディアに出ていると、鳥羽さんブランディングうまいですよね、ってよくいわれます。キャラクターとか発信力でうまくバズりましたよね、と言われることもあります。いやいやいや、って思いますよ。だから、ってわけではないですが、こういう時期は特にうまい料理を出していかなきゃって気合いが入っています」

「僕がメディアに出て料理を作って、見ている人が興味を持ったら、じゃあ食べてみるか、ってなりますよね。その入り口として、1000円で食べられるバインミーや弁当があって、レストランの料理がある。『本当においしいかの答え合わせ』ができるのが、店舗を持っている料理人の特徴ですよね。僕らは結局、料理人なんで、料理人としてのクリエイションができていないとダメ。『おいしい』で課題解決しないと『幸せの分母』は増やせないです」
レシピ動画を撮影する際も、コンビニであらゆる食材を買い込んで検証し、何度も作り直してレシピを作成。料理人ではない奥様に実際に作ってもらい再現性を確かめてから動画を作っているといいます。「めちゃくちゃ時間かけてるんすよ」と、鳥羽さん、苦笑い。バインミーもパンの焼き方から中の具材まで、日々進化しているそう。

鳥羽さんは「愛」という言葉をよく使います。恥ずかしそうな素振りも見せず、いとも当然のように。
「結局、愛なんですよ。他者への愛。料理への愛。それしかないです。儲かってるんでしょ?って言われます。全然足りてないですよ。赤字を出しながら走ってるって状況です。こんな状況ですけれども、僕、お金には困ってないんですよ(笑)。食べるものがなくなったらきっと誰かがごちそうしてくれるし。僕は他者のまなざしの先をちゃんと見て、その人たちのために動く。そして料理を通してその人たちを助けたい。それが僕の、そして[sio]の本質でありモチベーションです」
今回紹介する「牛しゃぶ生春巻き」も、鳥羽さんらしさを感じる一品。根セロリのサラダと牛肉のしゃぶしゃぶを生春巻きで包み、トマト水をかけたもの。たっぷりのイクラとの相性の良さに思わず目を見開くはずです。
「こんなのが自宅で作れたら最高じゃないすか? 材料さえ揃えたら簡単なんで、ぜひ作ってみてください」



ポイントはドライトマトを一晩漬けこんだトマト水!


「うまみや香りを引き出すアルカリ水だからこその味。オリーブオイルは、『セドリック・カサノヴァ』で扱っているものだけを使うと決めています。香りが唯一無二なんですよね」

今回ご紹介いただいた3品のレシピは「いわば、水が主役の料理」と鳥羽さんは言います。「水が全面にでているわけではないですが、この水だからこそ引き出される味わいがあると思います。浄水でも、硬水や軟水、アルカリ性や酸性などの特徴で、味わいや役割は変わってきます。今回使ったクリンスイCP013は、浄水してくれるだけでなく、電気を使わずにアルカリ性にしてくれるのがいいですね。アルカリ性の水は、食材の味や香りを水に溶かしだしてくれる。今日は手軽なポットタイプを使いましたが、本気でビルトイン型が欲しくなってしまいました(笑)」
次回は下北沢[サーモン&トラウト]のシェフを立ち上げから4年間務め、渋谷PARCO内のタイ料理レストラン[chompoo]や、ユナイテッド株式会社の社員食堂[UB1 TABLE]プロデュースなど多彩に活躍する森枝幹さんに、3食分のレシピを教えていただきます。

材料(2人分)
- 牛肉(しゃぶしゃぶ用スライス)100g
- 生春巻きの皮(ライスペーパー)1枚
- 根セロリ150g
- カニ(ほぐし身)50g
- サワークリーム10g
- 白バルサミコ酢5g
- マヨネーズ30g
- 塩1g
- リンゴジャム30g
- マイクロコリアンダー適量
- イクラ適量
- オリーブオイル適量
- ドライトマト水適量
トマト水
- ドライトマト100g
- 水(アルカリ水が好ましい)300ml
作り方
- ドライトマト水を作る。容器にドライトマトを入れ、水(アルカリ水が好ましい)を注ぐ。冷蔵庫で1晩~1日おいて、ドライトマトのうまみを水に抽出する。使う直前に茶こしまたはザルで濾す。(残ったドライトマトはもう一度だし用に使ったり、ほかの料理に使う)
- 根セロリのサラダを作る。根セロリをチーズ削り器ですりおろす(ない場合は千切りにする)。塩(分量外)を混ぜて1〜2分ほど置き、しんなりとしたら水気を切り、カニ、白バルサミコ酢、マヨネーズ、塩であえる。
- 牛肉をゆがく。フライパンにお湯を沸かし、弱火で牛肉をゆがく。火が通ったら鍋から取り出し、キッチンペーパーなどで水分をとる。
- ライスペーパーで巻く。ライスペーパーに霧吹きで水をかけてもどし、ゆがいた牛肉をのせ、その上に根セロリのサラダをのせる。太巻きを作るときのように、幅広にたっぷりとのせる。左右は折り込まないため、ライスペーパーの脇ギリギリまで具材を入れる。
- 根セロリのサラダの中央部分に横一文字にくぼみを作り、そこにリンゴジャムをのせる。太巻きの芯をイメージして。
- ライスペーパーの下部を取り、上部に返して巻き込む。崩れないよう丁寧にライスペーパーを巻き込み整えたら包丁で4~5切れに切り分ける。
- 盛り付ける。生春巻きの断面を上にしてお皿にのせ、ドライトマト水を注ぐ。生春巻きの上にイクラをのせ、マイクロコリアンダーを添える。オリーブオイルをかける。

今回、鳥羽さんが使用したのは、美味しい水のブランド『Cleansui』のアルカルポットシリーズ「クリンスイ CP013」。電源を使わずに、浄水されたきれいなアルカリ水をつくれます。除菌も可能なフィルターで微細な雑菌や赤サビ、鉛までしっかり除去。プロダクトデザイナー柴田文江氏によるポットのデザインは、美しい曲線が印象的。キッチンにも食卓にもすっきりとなじむデザインです。
https://www.cleansui.com/shop/g/gCP013-GR/鳥羽周作
1978年生まれ、埼玉県出身。Jリーグの練習生、小学校の教員を経て、32歳で料理人へと転身した異色のシェフ。神楽坂[DIRITTO]、青山[Florilege]、恵比寿[Aria di Tacubo]といった名店で修行を積み、2016年3月より代々木上原[Gris]のシェフに就任。その後、同店のオーナーシェフとなり、2018年7月より[sio]としてリニューアルオープン、『ミシュランガイド東京2020』で一つ星獲得。2019年10月丸の内ブリックスクエア内にアラカルトで楽しめる[o/sio]をオープン。12月東急プラザ渋谷内にオープンした純洋食とスイーツ[パーラー大箸]を監修。(各店の営業状況は各公式ウェブサイトをご確認ください)
CREDIT
- Photography by Norio Kidera
- Text by Reiko Kakimoto
- Edit by Shunpei Narita