昼食編は、休日のブランチにぜひと推す「青大豆のフムス ハーブサルサ」です。材料と作り方は下部にまとめています。

「フムスは、ヒヨコ豆のペーストのこと。中東からヨーロッパまで広く親しまれている料理です。今回はこの料理を国産の青大豆でつくってみようという提案です。グリーンの見た目もきれいで、自然でフレッシュな甘みがある。ハーブのソースとお好みのパンを添えることで、手軽な昼食にも、ワインとともに楽しむブランチにもいい一品になります」

下準備では、乾燥青大豆を水に浸して戻しておきます

青大豆は、北海道洞爺湖町で無肥料・無農薬で野菜を栽培する『佐々木ファーム』のものを使用。

「フードマイレージの問題を考えても、国産の食材を優先したいというのが[the Blind Donkey]の考え方。食の安全性という観点からできるだけ顔が見える生産者を選ぶという意味でも。ヒヨコ豆はまだ輸入品がほとんどという現状ですが、国産の豆でフムスをつくれないか。そんな思いから考案したメニューでもあるんです」

現在のパートナーであるジェローム・ワーグシェフとの出会いをきっかけに、サステナブルな方法で生み出される食材への関心が一気に高まったと話す原川さん。2012年、目黒に[BEARD]を開く頃から、「生産者で、食材を選ぶ」今のスタイルを少しずつ確立していったとのこと。

「とはいえ、最初はとっかかりもなく。まずは鎌倉のレンバイ(鎌倉市農協連即売所)や、青山のファーマーズマーケットに出掛けたりというところからスタートしました。そうするうちに少しずつ、生産者の方々とのご縁ができてきたという感じです」

きっかけの生産者の一人が、料理人仲間の紹介で出会った長野県佐久市『長谷川治療院 農業部』の長谷川純恵さん。名の通り、鍼灸治療院を営むご主人と二人、佐久へ移住し2010年から農業を始めた新規就農者で、佐久の風土、自然環境に即した農法で少量多品種の野菜を育てています。鹿児島で家族経営で豚の飼育・食肉加工を行う『ふくどめ小牧場』とは、鹿児島で行われたイベントへの参加をきっかけに出会ったといいます。

「いったん興味を持つと、人の縁で自然に輪が広がったというか。今回使っている青大豆の『佐々木ファーム』さんも、自然栽培の野菜を中心に宅配、卸売りを行う『青果ミコト屋』さんの紹介で出会いました」

自然に寄り添って育てられた食材を食べると「味覚だけでなく、体がリアクションすることを知った」と、原川さん。

「いい意味でザワザワするというか、細胞が喜ぶ感じ。それまで体験したことのない感覚でしたね。お話しした方々含め、多くの生産者と出会い、つながる場をジェロームとも共有したのですが、ジェロームという外の視点が加わることで、彼らの仕事がより明確に価値化されたというか。自分の足元から湧き出る水の清冽さに、ハッとさせられたという感覚です」

一枚の葉にも、一粒の豆にも命が宿る。生産者との交流が深まるにつれ、その気持ちもより強く、明確になったといいます。

「この青大豆を味わってみて下さい。水で戻して茹でただけ、味を付ける前から豆自体に豊かな甘みがある。噛んで味わった後にまでふくよかな余韻が残るような。こういう食材を日々味わえるのは、何よりの贅沢であるように感じます」

そう話しながら、フムスのつくり方を説明してくれました。ここで重要になるのが、調理に使う水です。

「フムスは、乾燥した豆を戻した水で炊き、その茹で汁を使ってつくるペーストです。戻した水に、茹で汁にと、水に豆の旨みが出ている。青大豆の中に水分が入り、加熱されて柔らかくなるのと同時に、豆の味も水に、茹で湯に出る。ここでも水は大事な素材なんです。水がポイントになってくる料理だからこそ、水にもしっかりこだわりたい。クリンスイの浄水器を使うことで、他の食材のポテンシャルを最大限に引き出すことができる。料理そのもののレベルを一段上に高めてくれるような存在ですね」

アクをとりながら青大豆とにんにくを中火で茹でます

料理人ごとにさまざまな考えがありますが、「丁寧に栽培、加工された素材の味を“なるべく損なわずに”皿に載せること」こそが、原川さん、ジェロームシェフの目指すところです。

このくらいの色味が茹で上がったサイン。ざるにあげるときに、煮汁も取っておくこと
ハンドブレンダー(フードプロセッサーでも)を使ってピューレ状に。煮汁も加えながら硬さを調整します

「逆に、きちんとした素材さえ選べば、あとは“勝手においしくなってくれる”。火を通し柔らかくなった青大豆とにんにくに茹で湯を加えながら好みの硬さのペースト状にし、フムスには欠かせない白ゴマペーストとアクセントのクミンを加えるだけ」

白ゴマペーストが入ることでより濃厚な味わいに。植物性とは思えない満足感をうむ理由のひとつ

「きれいな水で最大限に引き出された青大豆の、雑味のないピュアでやさしい味が主役で、白ゴマペーストの植物由来のコクとクミンの香りが加われば、ほんのわずかな塩でも味が立体的になる。お気付きの通り、動物性の食材を使わないヴィーガン料理でもあります」

ハーブサルサに使うパクチーとイタリアンパセリは、それぞれみじん切りで

パクチーとイタリアンパセリを使ったハーブサルサを添えれば、豆とソースそれぞれの青い香りが引き立て合う。次第に暑さを増すこれからの季節にもぴったり。冷やした白ワインとの相性も抜群です。

材料(2人分)

  • 乾燥青大豆200g
  • ニンニク大2片
  • 白ゴマペースト中さじ3
  • クミンパウダー小さじ1
  • 適量
  • 600ml
  • パクチー3枝
  • イタリアンパセリパクチーと同量
  • レモン汁1/2個分
  • オリーブオイル大さじ4

作り方

  1. 青大豆を豆の3倍量の水に浸し、戻しておく(約6時間が目安)。
  2. 青大豆を戻した水ごと鍋に入れ、半分に切って芽を取ったニンニクを加え、火にかける。沸騰したら中火にし、アクを取りながら青大豆がしっかり柔らかくなるまで茹でる。茹で上がったら、青大豆をざるに上げ、煮汁は別にとっておく。
  3. 2.の青大豆とニンニクをフードプロセッサーかハンドプレンダーでペースト状にする。取っておいた煮汁で硬さを調節し、白ゴマペースト、クミンパウダー、塩で味を調える。
  4. みじん切りにしたパクチーとイタリアンパセリ、レモン汁、塩ひとつまみ、オリーブオイルを小さなボールに入れて混ぜる。
  5. お皿に3.のペーストを盛りつけ、4.のハーブサルサをかける。好みでピタパンなどを添える。

今回原川さんが使用したのは、美味しい水のブランド『Cleansui』のガラス浄水器「クリンスイ JP101-C」。日本のクラフトマンと作り上げた製品で、「ランドスケープ・プロダクツ」ファウンダーである中原慎一郎さんと、テーブルウェアを中心とした耐熱ガラス商品の製造と販売に携わる「手づくりガラス工房 クラフト・ユー」主宰の徳間保則さんが制作を担当。ハンドメイド独特のなめらかなシェイプが美しく、暮らしに寄り添うようなデザインです。

希望販売価格 ¥39,000(税込¥42,900)
https://shop.cleansui.com/crafts/glass/

原川慎一郎

渋谷[コンコンブル]で修業の後、渡仏。帰国後、三軒茶屋[uguisu]、九品仏[ラ・ビュット・ボワゼ]を経て、2012年に目黒に[BEARD(ビアード)]をオープンし、話題となる。 2017年、[シェ・パニーズ]元総料理長のジェローム・ワーグとともに、神田にレストラン[the Blind Donkey (ザ・ブラインド・ドンキー)]をオープンした。地産地消、オーガニックの流れを汲み、シンプルな調理法で素材の味を引き出す料理にファンが多い。

CREDIT

  • Photography by Norio Kidera
  • Text by Kei Sasaki
  • Edit by Shunpei Narita