「ハマグリはここのしか使わない」と鳥羽さんが全幅の信頼を寄せるのが、『一山』のハマグリ。

「日本で一番だと思っています(と、ここでちょうど宅急便でハマグリが到着)。貝を洗っていない状態でも、ほら、貝の表面にまったくぬめりがないんです。普通、ハマグリをより分けると1箱に数粒は状態が悪くて匂いが出てしまっているものがあるのですが、一山さんのはいつも完ぺき。出荷前の手当てがいい証拠です」

以前は産地や生産者を前面に出したメニュー作りを意識していたこともあるといいますが、いまは「食材にフォーカスするよりも、調理技術やコンセプトのほうを大切にしている」と鳥羽さん。その考えがよく表れているのが、1万3500円で限定販売(五月中旬の取材時)をしている「贅沢弁当」です。

「食べ手がコロナ期に、飲食店に求める1万円の価値って高級食材にはないな、と感じています。僕ら[sio]のチームは弁当という枠組み=制限の中で、コース料理を表現しています。牛肉の上にウニをのせているのも、贅沢な食材を入れるという発想ではなくて、すき焼き風味の牛肉に、溶き卵の役割としていてウニをのせる、そういう考えです。お弁当箱を厳選して、それを風呂敷で包み、ぴったり合う紙袋を作って。僕らとしては、贅沢弁当は『目先のキャッシュ(赤字)を補填するツール』ではなくて、お弁当という形のクリエイティブ、芸術だと思っているんです」

社会が抱える問題に「おいしい」で答えていく。それが鳥羽さん流の料理人としての矜持だといいます。食材に頼りすぎると、社会解決の手法も、クリエイティブの幅も狭まってしまうというのが、いまの時点で鳥羽さんが感じていることなのだそう。

その前提をもって、なお「これだけは」という食材はいくつかあります、と鳥羽さん。その一つが『一山』のハマグリ。そのほかには和歌山『山利』のしらす。そして『セドリック・カサノヴァ』のオリーブオイル。

「これだけは替えがきかない食材。僕の料理には欠かせません。」

そうした食材の味を引き出すのが水。今回使った「クリンスイ CP013」の魅力。「もちろん水そのものもおいしいんですが、食材の味を引き出す力が、僕にとって一番の魅力ですね」と鳥羽さん。さっそく、ハマグリのボンゴレを作っていただきましょう。

ところで、ボンゴレは白ワインを使って貝を蒸し焼きする印象がありませんか?

「レシピを見ると、貝を白ワイン蒸しして…って書いてあることがよくありますよね。でも白ワインの酸味を飛ばしながら加熱するって、実は結構難しいんです。白ワインのアルコール分が残ってしまったり、煮詰まった酸味が出ちゃったりすることがあるので、あまりおすすめしないです。むしろ水が正解。アルカリ水で食材のうまみをしっかり引き出しましょう」

ハマグリの旨みを引き出すためにも、アルカリ水が好適

ボンゴレの味を存分に味わってほしいから、材料はミニマム。それだけに1つ1つの手順が味わいの完成度に大きく影響します。

たとえばニンニクのみじん切り。

にんにくはいつもより細かく刻むことを意識して。大きめの欠片に火が通り過ぎた際に、焦げ臭くなるのも防げます

「かなり細かいですよね。お店でもニンニクのアッシェ(みじん切り)だけは僕がやっているんです。細かく均一に切らないと、火入れした際にムラがでて、芯まで加熱されていないかけらが出てしまう。そうすると食べたときに口にいつまでもニンニクの強い香りが残ってしまうんです」

パスタを茹でます。ハマグリのエキスがたっぷり詰まったスープを最後に吸わせることも考慮し、硬めに茹でること

パスタはアルカリ水を使用。1%濃度の塩水でゆでます。「アルカリ水でゆでることで、パスタの食感がもちもちします。よく茹で湯をパスタソースに使いますが、ボンゴレに関しては、貝に塩分があるので使いません」

ニンニクにしっかり火が通ったら、ハマグリと水を入れて蓋をし、蒸し焼きします。

「ハマグリにちゃんと火が入ると、殻から身がするっと外れます。殻は全部外しましょう」
硬めにゆでたパスタを、ハマグリのエキスがたっぷり滲み出たスープにあわせます
ハマグリのスープにパスタをあわせ、刻んだパセリとオイルを三周。水分を飛ばしながらしっかりかき混ぜ乳化させます

さあ、見てください。この仕上がり! 鳥羽さん、いかがですが?

ソースとパスタがしっかりと絡むように、平皿でなく深さがあるタイプの皿に盛り付けるのもポイント

「今日のハマグリは鹿島産です。うまっそう! (一口食べて)…うまっ!!!! ここ最近食べたパスタの中で一番うまい!! …280点!!」と絶叫。

「ハマグリが甘やかで、余韻が半端ない。もう一口、もう一口って誘う味です。セドリック・カサノヴァのオリーブオイルがどんぴしゃで合うなあ。…これ、丼で食べてもいいっすか?(笑)」

食べ終わった後、しみじみと「素材と水が決め手だよなあ」とつぶやいた鳥羽さん。春の海をぎゅっと濃縮した味わいのパスタ、ぜひ『一山』のハマグリでお試しください。

材料(2人分)

  • スパゲッティ(1.9mm)120g
  • ハマグリ(殻付き)550g(今回は80g/粒を使用)
  • ニンニク(みじん切り)1かけ分
  • オリーブオイル大さじ2
  • (アルカリ水が好ましい)
  • (湯量の1%)
  • イタリアンパセリ(刻む)少々

作り方

  1. スパゲッティをゆでる鍋に水をたっぷり入れて沸かし、1%濃度になるように塩を入れる。通常のゆで時間よりも1分早めに上げる。
  2. ハマグリを蒸し煮する。1.と同じタイミングで、フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れ、強火にかける。ニンニクから泡が出てきたら弱火にし、ハマグリと水100mlを加える。
  3. 蓋をして強火にし、蒸す。貝が開いて、身にしっかり火が通ったら、火を消して殻を外す(火が入っていたらするっと取れる)。身はフライパンに戻す。
  4. パスタとハマグリを合わせる。ゆであがったスパゲッティを2.のフライパンに入れ、強火にかける。パスタにハマグリのスープを吸わせながら混ぜる。煮詰まったらイタリアンパセリを加え、オリーブオイルを3回し(分量外)し、スープを乳化させる。

今回、鳥羽さんが使用したのは、美味しい水のブランド『Cleansui』のアルカルポットシリーズ「クリンスイ CP013」。電源を使わずに、浄水されたきれいなアルカリ水をつくれます。除菌も可能なフィルターで微細な雑菌や赤サビ、鉛までしっかり除去。プロダクトデザイナー柴田文江氏によるポットのデザインは、美しい曲線が印象的。キッチンにも食卓にもすっきりとなじむデザインです。

https://www.cleansui.com/shop/g/gCP013-GR/

鳥羽周作

1978年生まれ、埼玉県出身。Jリーグの練習生、小学校の教員を経て、32歳で料理人へと転身した異色のシェフ。神楽坂[DIRITTO]、青山[Florilege]、恵比寿[Aria di Tacubo]といった名店で修行を積み、2016年3月より代々木上原[Gris]のシェフに就任。その後、同店のオーナーシェフとなり、2018年7月より[sio]としてリニューアルオープン、『ミシュランガイド東京2020』で一つ星獲得。2019年10月丸の内ブリックスクエア内にアラカルトで楽しめる[o/sio]をオープン。12月東急プラザ渋谷内にオープンした純洋食とスイーツ[パーラー大箸]を監修。(各店の営業状況は各公式ウェブサイトをご確認ください)

CREDIT

  • Photography by Norio Kidera
  • Text by Reiko Kakimoto
  • Edit by Shunpei Narita